「ミューズ・エフェメラル」公演報告

一人芝居を含め、チーム別にそれぞれの個性際立つ3本の作品を上演。短期集中で作った舞台、本番は皆のいちばんの力が組み合わさったものとなった。途中、転換時に、役者インタビューなどもあり、お客様にも大いに楽しんでいただけたと思う。土曜は雨天にも関わらず、多くの方に足を運んでいただき、日曜は遠方からのお客様も多かった。ご来場下さった皆様、どうもありがとうございました。

劇団MUSES第9回公演「ミューズ・エフェメラル」~短編2本+1~

 

日時 2023年3月18日(土)18時開演 / 19日(日)14時開演

会場  静岡市葵区葵生涯学習センター(アイセル)1Fホール

  

 上演作品    春の夜の夢のごとし  脚本・片山るん

 

         宙を舞う蝶のごとし  脚本・近江木の実

   

    〈+1〉 諏訪湖みどりのbreak time 脚本・近江木の実

 

第9回公演は、3回公演「奇想天外」以来、久々の複数作品の上演。代表の近江と自らユニットを持ち他劇団への客演も多い片山るんの二人がエフェメラルな作品をそれぞれ書き下ろした。「エフェメラル」とは儚く(はかなく)消えやすいものを指す言葉。短くも儚い2作品の競演が実現しました。

舞台は夢、舞台はまぼろし

一夜にして消え去る、儚い愛のうたかた

演目紹介

 

「春の夜の夢のごとし」

数十年の時を経て集まったのは亡くなったシラトリセンパイをめぐる3人の女たち。それぞれの胸に去来するものは、郷愁か、後悔か、はたまた情念か。つかの間語り合い離れていく 儚い夢のように

出演:剣ともこ スガタチエ JUNKO

演出:片山るん

  

「宙を舞う蝶のごとし」

作家・花島響子の家に突然現れた一人の少年。彼は施設を飛び出してきたという。

響子と少年の関係を怪しむヘルパーの水木映子。それぞれの時間が宙を舞い始める。

出演:片山るん 友野ふう BKぶんぶん 春日みかん

演出:近江木の実

      

「諏訪湖みどりの break time」

満を持してついに登場! 見よ、この演劇魂!!

出演:諏訪湖みどり

演出:近江木の実

 

(写真左は「宙を舞う蝶のごとし」の稽古風景)

(写真右は「春の夜の夢のごとし」のホール稽古)


劇団MUSES  ~演出家対談~ 片山るん✕近江木の実

「ミューズ・エフェメラル」で久しぶりに演出を手掛けた片山るんと近江が本番を1週間後に控え、演出談義を繰り広げた。

 

近江  久しぶりの演出どうですか?

 

片山  苦戦してます。稽古時間が少ない中で演出のイメージを伝える時間と実際に動いてもらう時間のバランスを取るのが難しいですね。

 

近江  もろもろ限られてますからね。でも、しっかり形ができてきました。

 

片山  ラインを使って補足説明をしているので、それが効果をあげているのかもしれません。

 

近江  なるほど。僕もそうなんだけど、役者に演技をやって見せるのってほとんどないですよね。

片山  そうですね。どうしてもうまくいかない時は「例えば」と言ってやってみせることはありますが、あくまで参考ということで、そこから役者に自分の形を見つけ出してもらうようにしています。

 

近江  演出者がやって見せると、形だけ同じになりがちですね、心は動いてなくて。

 

片山  今回、演出作品の方で、自分でやって見せたくなるのは、一方で出演してるからかもしれません(笑)

 

近江  そう。「宙を舞う」には主演をしてもらってます。今はやりの二刀流(笑)。切り替えが大変じゃなかったですか?

 

片山  案外大丈夫でした。稽古場が違うというのもよかったかもしれません。

 

近江  今回、静岡と浜松で完全に分けましたからね。移動ご苦労様でした。 

片山  いえいえ、浜松に行くのは、他の劇団にも+参加したこともあるので、かなり慣れていました。道路事情も都合がよくて。それでいうと、近江さんの方が大変じゃないですか?

 

近江  まあ僕は昔から行ったり来たりしてますからね。普通になってますが。でもさすがに最近は夜遅くの帰宅はきつくなってきました。年です(笑)。ところで片山さん、演出家に必要なことって何だと思います?

片山  そうですね、まずは考えを言語化する力。次にそれを他人に伝える力、ですね。

 

近江  伝えるのは苦労しますね。どういうと分かりやすいか、考えますもんね。たとえを使ったりとか。語彙が豊富なことにこしたことはないです。

 

片山  同じ文を読んでもそこから読み取るものは人によって違いますよね。そのズレをどう埋めるか、どう言ったら理解してもらえるか。それをずっと考えています。

 

近江  普段ステイタスが低い役者はそこからの視点になるし、逆に高い役者は高いところが、その人の普通になっている。スタート地点はそこでいいけど、そこから作り直していく作業が大事ですし、また難しい部分でもありますね。

 

片山  どういう作品にしたいかについて明確なイメージ持つこと、それをどう実現させるか。目の前にいる役者の個性も考慮しなくてはならないと思っています。

 

近江  その通りです。

 

片山  最終的に舞台に立って表現するのは役者ですから。どこまでサポートできるかだと思います。

 

近江  あとはどこまでこだわって、どこでよしとするか、それも難しいと思います。アマチュアは特に。

 

片山  演出って大変ですよね。

 

近江  はい。お互いがんばりましょう。今日はありがとうございました。

 

(2023年3月12日。葵区生涯学習センターにて)


特別企画 諏訪湖みどり インタビュー!

今回、果敢に一人芝居にチャレンジした諏訪湖みどりさんの単独インタビューが実現しました!

――ズバリ、一人芝居をやろうと思ったのはどうしてですか?

 

諏訪湖  今回は短いもの3作品という事になり、出演者の中では年齢的にというか、何かと中途半端な私としては憧れていた一人芝居を試すチャンスと思いました。

 

――お芝居のキャリアはどのくらいになりますか?

 

諏訪湖  初めはシニア劇団で67歳くらいからでした。芝居が面白くて楽しくてSPACの応募に挑戦してますますのめり込んでMUSESにも出会い、もう17~18年になります。

 

――引退を考えたことはありますか?

 

諏訪湖  これが最後と思いつつ、もう何年にもなります。芝居の魅力に勝てずに今になってしまった。近頃は感じることがなかった衰えが日々目につくようになりました。気力だけはあるのですが、

皆さんに迷惑をかけないうちに踏ん切ります。今回で終わりにすると。

 

――え、今回で終わりなんですか?今初めて聞いて驚いてます・・。

  この先、目標みたいなものはあるんですか?

 

諏訪湖  今朗読にはまってます。物語りの中の登場人物の一人一人の、自分でない人生を想像の中で生きる。そうするには深く、うんと深く読みこむ。難しいが、そこがいい。だけど時間は少ししか残っていない。その後のことは又考えます。

 

――では、最後にお客様にメッセージをいただけますでしょうか。

 

諏訪湖  ミューズの公演には第二回から、5回か6回出させて頂きました。思いもよらない大役を頂いたり、いろんな役をやらせて頂き、思いのまま演らせて頂きました。観に来てくださいました皆様にはどう感謝申し上げてよいか言葉が見つかりません。只々感謝です。有り難うございました。深く御礼申し、上げます。

 

――貴重なお答えありがとうございました。一人芝居楽しみにしています。