二年半ぶりの公演「本能寺が変。」本番まであと半月。演出の近江木の実が残りの稽古日を中心にその様子を報告する。
読んで「ちむどんどん」(沖縄の言葉でハラハラドキドキ)してください。(するかな?)
6月11日(土)
なかなか機会がなかった主役二人(檜君、本能寺君)の個別練習をした。つけていない演出をつけ、演技の疑問などを聞いて解決していった。二人のシーンはだいぶ形になってきたと思う。檜君を演じるJUNKOさんも本能寺君を演じるスガタチエさんも、新入団員でMUSESは初めて。しかもチエさんは初舞台(!)。いつものメンバーならアテ書きできるのだが、二人はそうではないので、最初のうちはアテずっぽ書きになってしまった。二人とも小学生(男子)の役である。途中から調整しつつ書いていったが、ハマってるのかどうか、これはお客さんに聞くしか答え合わせはできない。でも案外楽観している。二人の演技づくりがとても熱心だからだ。あとは二人の関係をさらに深めていければと思う。これだけやればきっと伝わる。そう信じている。
6月12日(日)
午後から静岡で稽古。チェックしたい場面をピックアップして見る。少しずつテンポアップさせ動きを締める。場面のリズムができてきている感じがする。ただ先読みし過ぎて動くと不自然になる。すべて初めての状況でのリアクションにならないといけない。心情変化があったうえでの身体反応である。それから稽古で決めた動きなどを日が過ぎると忘れてしまう場合がある。定着させるために日を置かずに練習するのがよい。仕事の関係で相手の欠席が続くと仕方なく日が空いてしまったりするんだけど。
一番若い役者のBKぶんぶんはコオロギ役。決して出番に合わせたわけではないが、練習回数が少ない。ここで一気に詰めたいところ。声を大きく出したいので腹式呼吸を教わりたいとのこと。口頭で簡単に話したが、別途練習の機会を取ろう。気持ちが入れば自然と声に力がこもることも忘れないで。
夜の部はホールを借りていて、ステージで終盤の練習。やはりコオロギ君を中心に確認。その前に舞台を測り、袖をどれだけ内側に出すか決めた。奥行きも狭いけどぎりぎりできそう。ホールの照明機材は動かしたりできないということで(何と!)、これがどうなるか、微妙なところ。ホールおつきの技術屋さんもいなければ本番時の担当職員もいないという話。これは照明音響つきの普通の部屋を借りるのと同じなのであった。何とか機材の使い方だけは説明を聞けるようにしたい。
6月19日(日)
今日は浜松最後の練習日。最後のシーンを確認して、通し稽古を行う。3回目である。場面と場面のつなぎを役者中心に練習してもらったのでその成果が出ればいいなと思っていたが、予想以上の出来栄えだった。余分な間がなくなった分、展開もスムーズ。1時間40分の上演時間。台本の量からちょうどこのくらいという感じ。音を使うとこはそれなりに入れて、暗転は声がけして確認した。照明オペも同席してくれたので心強い。ただ音響オペを自分がやることになって、芝居を全部見れずそこがちょっと苦しいところ。音源編集と練習をしてならせば余裕も出てくると思う。役者陣は全体のテンポはよかったが、セリフが出ないところ(真っ白状態)がところどころあったので、そこをクリアしてもらえたらと思う。みんながんばろう!
6月24日(金)
午後から会場のホールを借りて、機材使用の説明を受け、照明と音響を試してみた。音響のオペは舞台袖でやろうと思うが、ONOFFのタイミングがうまくとれるかどうか。それなりの練習をやりたいが、たぶん前日のゲネまでやれないんじゃないかと思う。音量も操作しながら客席に行って確認したり手間だ。ちょっとだけ不安がよぎる。
照明は時間がないので、夜オペが来るまで最初の方の明かりはアバウトに作る。どれだけ回路があるか心配したが、普通の小ホール程度くらいはあったのでほっと一息。ただグループわけは不可ということで、フェーダー操作が大変になる。古いけど立派なステージスポットもあり、もったいないので、フロアでつなげて使わせてもらうことにする。舞台に大黒幕は無く、ホリ幕みたいになるスクリーンがある。ホリの明かりは3色、うまく使い合わせたい。サスを使う前後をスムーズにいけると照明はだいぶ楽になる。夜、オペが来て、明かりと卓の確認をしたのち、こちらで考えた色を提案し、それを詰めてもらう形にした。キューの半分もやれなかったけど、1場と4場の明かり&ライトチェンジを最低限やれたのでよかった。
明日夜は音響編集もある。本番まであと1週間!
6月26日(日)
本番まで一週間を切った。長い時間の稽古は今日が最後。ゆうべ編集した音源をもって稽古場へ。CD1枚になったので出し入れしなくて済む。ただ正面で舞台を見ながら操作するため延長ケーブルが必要。ちょっと重い。
稽古はとにかく気になるとこを返す。あとは音の入るところのチェック。照明オペも同席、芝居の確認をする。もう一歩二歩足が出るといいのにそういかない。だいぶ前から言ってるものもある。からだのクセや動きのクセはすぐには修正できないものと改めて思う。セリフも心情も相手とのやり取りなので両者のキャッチボールが見えないと場面が停滞する。立って言ってるだけになっていってしまう。セリフだけなら目を閉じて聞けばよい。お客さんは視覚と聴覚、両方をめいっぱい使って楽しもうとする。役者も体全体を使って意図や気持ち、状況を表さないと演技が半分もできていないということになる。ほとんどの場面は出来上がってきている。細かいところをどこまでチェックできるかというところ。
あとは音や照明のからみで演出効果を作るところ。最終的には現場でつくるしかないが、事前に補助線を引いておきたいと思っている。制作面のこともあるし、本番モード突入である。
6月30日(木)
いよいよ、明日が仕込み、明後日が本番となった。コロナでずっとやれず、2年半。やっと公演できる日が来たと思うと感慨もひとしお。ただ油断してはいけない。最後まで大事にいきたい。
今日で通常の練習は最後。直前ダイアリーも最後。時間があまりとれない静岡での稽古、気になる役者の気になる場面をチェックし、あとは後半の音がらみのところ、ゆうべ再編集をして間尺も確認したはずなのだが、やはり足りない箇所があり、オペで対応するしかないと腹をくくった。演者によって違うし、その場の展開の具合でも違うということを痛感。音響オペはMUSES公演では初だと思う。(前「十二夜」の時は照明のオペだった。)きっかけはわかってるとしても、操作の練習が必要。演出しながらのオペは大変そうだが、ここは乗り越えるしかない。演出目線で舞台の流れを整える作業が残っている。物語のダイナミズム、道具の配置、演者の動線、それこそ音や照明の効果も。もろもろうまくいってもらいたい。
ピノキオではないが、星に願おう。演技演出スタッフ、皆の力が十ニ分に発揮されますように。
では、ご来場のお客様、「本能寺が変。」をじっくりお楽しみください。