近江 | コロナ禍で2年以上経ってしまいましたが、何とか公演できそうです。お二人はMUSESの出演初めてですが、劇団での芝居作りいかがですか? |
JUNKO | オリジナルの現代劇をやれるので、それがとても新鮮で刺激的です。今までいたところは既成台本だったので、チャンスをもらった感じです。 |
近江 | そうだったんですね。MUSESも最初は既成でしたが途中からオリジナルになりました。チエさんは、MUSESというより、実はこれが初舞台。劇団はどうですか? |
チエ | 私、なんで演じたいと思ったのか、あまり覚えてないんだけど(笑)、前回公演の「レンタルサンタ」を見て、舞台と客席が一体になってる雰囲気がとてもよくて、笑いもあってあたたかくて、こういう中に入れたらうれしいなって思ったんです。演じなくてもいいので作る側に入りたいなって。でも連絡取るまで一週間悩みました。 |
近江 | 気づいたら主役の一人。 |
チエ | なかなか気づかなくて(笑)。教えてもらって、そうかと。 |
JUNKO | でもしっかりこなしてるし、初舞台とは思えない。 |
近江 | ほんとほんと。それで入団して、思ってたのと違うみたいなことなかったですか? |
チエ | とにかく比べるものがないから、全部新鮮。すべて一からのスタートです。 |
近江 | そういう言葉の方が新鮮。僕はもう初舞台のことほ全く覚えてない、昔過ぎて(笑)。 |
JUNKO | それで練習長くやってきても、本番は1日で終わっちゃうんだよねえ。寂しいなぁ。 |
チエ | 役決まったら、やめられないというか、逃げられないのも実感した。 |
近江 | 役者は基本ソリストだからね。今回の役作りの苦労とか面白さとかあったら教えてください。まず檜(ひのき)役のJUNKOさん。 |
JUNKO | 小学生ですよ、小学生(笑)。しかも男子。変に見えないかなって。 |
近江 | 本能寺が変なら檜君も変?(笑) 全然変じゃないですよ。上手に作ってる。 |
JUNKO | 実際、年齢は関係ないと思いました。檜君が見つけた答えって自分が探してる答えだったりして。小学生も私も同じなんです。人の心は変わらない。 |
近江 | そのへんは真理ですね。 |
JUNKO | そうそう一つ思い出したことがあって、私のとこも檜君みたいに親が運動会見に来れなかったんです。 |
近江 | え、ほんとに? |
JUNKO | はい。完全に忘れてたけど、これやって思い出しました。 |
近江 | そうなんだ。意外と接点あるんだね。偶然にしても。チエさん、本能寺はどう? |
チエ | 本能寺君は自分の居場所を探してる子。誰かの何かの役に立ちたい、コミュニケーションが苦手だけど、こんな自分でも役に立てるっていう、そういう場所を探してる。 |
近江 | その通りと思います。居場所は今回のテーマの一つですね。 |
チエ | 話にも出てきますが、絵本の「大きな木」。子どもに読み聞かせたこともあって読み直してみたんだけど、大人になって読んでもいいですよね。年齢や環境で感じ方が変わる。無償の木はみんなの心の中にもあるのかなって。 |
近江 | いろいろなことを考えさせる絵本ですよね。 |
チエ | シリアスな部分はシリアスな部分として、小学生ぽい無邪気なところも出していきたいです。 |
JUNKO | これ、あて書きって聞いたんだけど、本当ですか? |
近江 | 前からいるメンバーはそうですね、だいたいは。でもお二人は初めてでわからないから手探りで書き出して、だんだん調整しながら近づけた感じです。近づいたかわかりませんが。説明セリフはこの人に言ってもらおうとか、ここはこの人のアドリブでつなげてもらおうとか、ありますね、やっぱり。 |
JUNKO | へぇー、 |
近江 | でもいつも同じ役どころじゃ成長がないから、時には違うキャラをやってもらおうと思ってます。 |
チエ | こういう話をどうやって思いつくんですか? |
近江 | ネタというか素材は割とストックしてあるんです、それがいくつか結びつくときがあって、今回で言うと、人間と樹についての詩とか話とかはけっこうあるんだけど、たまたまピノキオを読むときがあって、これも木から人間になる話だと気づいたのね、しかも木は最後抜け殻みたいに残ってて。人間になりたいと思う木と、木になりたいと思う人が出会ったら面白いかも、と思ったんです。こういうの思いつくだけでも十分「変」ですけど。で、これをハヤリのVRの世界にしたら少しは「変」じゃなくなるかと。でもやっぱり「変」かな?(笑) |
チエ | 発想がとてもユニーク。ことば遊びの要素もあってすごく素敵な台本ですよね。 |
近江 | そんなふうに言われると何か恥ずかしいですね。 |
JUNKO | 脚本ができていくのが本当に楽しみでした。どうなるか見当もつかなかったけど、こんなことになろうとは・・(笑) |
チエ | 主役を演じることができてほんとラッキーです! |
近江 | では最後にそれぞれ本番に向けた意気込みを聞かせてください。 |
JUNKO | 私はただただ舞台の上で生きることに夢中になりたい。それだけです。 |
チエ | 不安や緊張は当然あると思いますが、舞台で演じることを少しでもいいから楽しみたい。お客さんの息を感じられるといいなあと思います。 |
近江 | お二人、今日は貴重な時間を割いていただき、ありがとうございました。 |
(2022年6月19日 鴨江アートセンターにて)